慢性的な人手不足や低い賃金水準、事業経営悪化、過去最高の倒産件数などなど、
介護業界は、目を覆いたくなる現実に直面しています。
こんな現状で満足度の高い良質なサービスの提供はできるのでしょうか?
現状での答えは「ノー」だと思います。
今、国は、予算の削減に躍起になっていますが、それはイコール一人一人の
「利用者へのサービスレベルの低下」を意味しています。
行政を経営的視点で捉えるならば、「出」の削減ばかりを考えるのではなく「入り」
を多くすることに頭を使うべきだと考えるのが常識ではないでしょうか?
今の国のやり方では、介護制度は確実に死んでしまいます。
即ち、削減と規制だけではなく、もっと民間の力を活かすべきなのです。
市場に正常な自由競争の要素を取り入れ、介護業界を活性化させるべきです。
活性化した業界には、人材も集まり、サービスの質向上にも繋がり、選択できるサー
ビスメニューが増えて利用者の満足度が向上します。
昨日、東京都と豊島区は戦略特区として、「混合介護の具現化に向けて協議を開始」
すると発表しました。
混合介護とは、介護保険サービス提供中に介護保険外サービス提供を可能にする制度
です。例えば、これまで介護保険では禁じられていた「庭の手入れ」、「大掃除」
「家族の食事を作る」「犬の散歩」「ヘルパーの指名」などなど、これまでやっては
いけないとされてきたサービスを介護保険外の有料サービスとして位置づけ、介護保
険サービス提供時間中に提供が可能となる仕組みです。(詳しくは別途)
今、掲げたメニューは、ほんの一部ですが、本格的に開始されれば、利用者のニーズ
に応じたサービスメニューがどんどん登場することが予想されます。
ここで問題となるのが、行き過ぎたサービスの提供や高額な価格設定、サービスを沢
山使う利用者と使わない利用者の間に差別的な扱いが生まれるのではないかと言うこ
とです。
これは非常に重要な課題ですが、現在でもサービスの提供内容の監視役となっている
ケアマネージャーが正しく機能することによって、この問題は解決されると思います。
自由競争の中で悪徳業者は淘汰されていきます。
昭和女子大学の矢代特命教授は、混合介護について次のように仰っています。
「価格の自由化を禁じている今の制度は、良質なサービスを求める利用者の選択肢を
制限しており、産業の健全な発展の妨げにもなっています。民間企業の参入を認めて
いる以上、その創意工夫を活かした多様なサービスが広がっていくようにすべきでし
ょう。それが介護保険法の本来の精神だったはずです。」
100% 同意です。
今後の豊島区の動向に注目していきたいと思います。 神長 誠
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神長誠の高齢者福祉行政コラム その2「介護業界の活性化を望む」
- 2017年01月17日
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